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 薬害オンブズパースン会議は、2021年7月、WHOのワクチン安全性諮問委員会(GACVS)に公開質問状を送付しました。GACVSの議長であったヘレン・ペトウシス=ハリス氏が、2020年8月に利益相反を理由に議長を辞任したことについて、その具体的な説明を求める内容です。少し時期遅れの公開質問となりましたが、重要な問題です。

 ハリス氏は、2014年2月に、日本の厚生労働省が開催したHPVワクチンに関する「意見交換会」で、HPVワクチンの安全性を擁護する立場でプレゼンテーションをした人物です。

 しかし、後日明らかになったところでは、ハリス氏は、HPVワクチンに関する研究業績が乏しく、自らも専門家でないと自認していました。にもかかわらず、ワクチンの安全性への疑問を提起してきたシン・ハン・リー氏が意見交換会に招聘されたことに対抗するため、当時GACVS議長であったロバート・プレス氏がハリス氏に白羽の矢を立てたのでした。HPVワクチンに関してなぜハリス氏が日本に専門家として招聘されたのか疑問をもった研究者がニュージーランドで行った情報公開請求によって、当時の厚生労働省担当者とプレス氏、ハリス氏らが行った不健全な協議を示すメールが公開されたために明らかになりました。

 この意見交換会への不当な介入の経過は、WHOや厚労省の中立性や公正さに重大な懸念を提起する問題です。

 そこで、2016年、私たちはこの問題について厚労省に公開質問を提出しました。質問書には、情報公開請求によって得られたメール本文を別紙として添付し、翻訳もつけて、当会議のホームページで公開していますので、是非ご覧になってください。

 WHOが公正中立な機関だと思っていらっしゃる方がいらしたら、イメージが変わると思います。

 その後、私たちは、ハリス氏がGACVSの委員に任命されたと知り驚いたのですが、さらに、プレス氏の後任のGACVS議長に就任したことを知り、大変驚いたわけです。そのうえ、今度は利益相反を理由とした辞任という展開ですから、私たちが注目しないはずはありません。WHOの利益相反管理については、以前より透明性が欠けているという問題意識を持っていました。そこで、公開質問を送付しました。今のところ、GACVSからは何の回答もありません。それどころか2021年6月、さらに1名が利益相反で辞任するに至っています。

 WHOの財政基盤は加盟国負担金は一部にすぎず、寄付に大きく依存しています。そしてワクチンメーカーは現金のみならず現物も含めて大口の寄付者です。当会議では、1999年、WHOが企業から寄付を受けられるようにガイドラインを改訂するとき反対の意見を送りましたが、そのときに懸念されたことが、その後に現実化したと考えています。特にHPVワクチンの問題をめぐるWHOの対応は非常に偏りがあり、利益相反の影響を考えないわけにはいきません。

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