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 2020年10月、厚労省は、都道府県に対し、新たに改訂したHPVワクチントを、市町村から定期接種の対象年齢(小6~高1)の女性へ個別送付するよう要請しました。

 HPVワクチンは2009年に国内で承認された後、わずか1年あまりで国が公費助成を開始し、2013 年4月には定期接種とされましたが、重い副反応に苦しむ症例が次々に報告され、同年6月には積極的な接種勧奨が中止されました。その際に作成されたリーフレットでは「現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません」と明記されていました。その後の改訂でも、医師向けリーフレットには記載されている学習障害・記憶障害という重大な副反応症状が、本人や保護者向けでは記載されていないといった欠陥がありましたが、「HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています」という表現で、積極的な接種勧奨が中止されていることが明記されていました。

 現在も国は積極的な勧奨を中止したままであり、その立場は変わっていません。それなのに今回のリーフレットでは、国が積極的な接種勧奨を中止しているという情報が削除されてしまいました。

 この間、救済制度によるHPVワクチン接種後の障害認定数は45人に達し、100万人あたりでは13・08人と、他の主な定期接種ワクチンの障害および死亡の認定(100万人あたり0・84人)と比較して15倍以上の頻度となっています。被害者の症状は、頭痛、全身の疼痛、感覚障害(光過敏、音過敏、嗅覚障害)、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、重度の倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に現れるという共通性をもっていますが、その治療法は未だ確立していません。受け皿となる医療機関は整備されておらず、補償制度の対象外とされたままの被害者も大勢存在します。国が個別配布を進める新リーフレットを読んでも、こうした実態を知ることはできません。このまま個別送付が進められれば、積極的な接種勧奨を事実上再開したに等しい状況となり、新たに大勢の被害者が出現することが強く懸念されます。このようなリーフレットの個別配布が進められてはなりません。

 HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は、リーフレットに書かれていない被害実態を多くの人に伝えるために、 自分の言葉で語る原告らの姿YouTubeチャンネル(※)で公開していますので、是非ご覧下さい。

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