No.64 (2020-08-01)
前号の機関紙のため、事務局長レターの原稿を書いたのは、今年の3月でした。それから今日までの間に、新型コロナウイルス感染症に関して緊急事態宣言が発出され、生活様式も大きく変わりました。当会議でも、事務局はテレワーク、メンバーによる定例会議はWeb形式です。メンバーは、平日はそれぞれ仕事がありますので、定例会議はいつも土曜日か日曜日ですが、Webの方が参加しやすいメンバーもおります。また、臨時の会議なども入れやすいという利点もあります。ただ、画面を凝視するからでしょうか、Webの会議は案外疲れるものです。
そういう環境の中、議論を重ね、公表したのが、アビガンに関する2本の意見書でした。感染の拡大を前に、治療薬への期待が大きいことは私たちにもよく分かります。それでも、いやそれだからこそ、私たちが発信しなければならないことがあるのではないか、今行われていることは、本当に患者の利益になっているのかという視点で、基本的な情報を整理し、基本的な考え方を示すのが自分たちの役割だということで一致しました。結果、公表後は、予測を超える多くの方が当会議のサイトにアクセスし、意見書をみてくださっています。意見書を紹介した業界紙の記事が注目記事としてランキングの上位になったりもしていました。
さて、当会議の次なる関心は、やはりワクチンです。当会議を反ワクチンであるかのように言う人がいますが、決してそうではありません。有効で安全なワクチンの開発に期待しています。ですが、新型コロナウイルス感染症のワクチンに関連して流れてくるニュースからは、それらの検証が不十分なままに、ワクチンが市場に送りだされる懸念が払拭できません。先の薬機法改正では、承認について、当会議が反対していた条件付早期承認制度など問題のある制度が規定されました。それがこの新型コロナウイルス感染症のワクチンに適用される可能性を警戒していきたいと思います。