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 医薬品等行政評価・監視委員会(以下「評価・監視委員会」)は、薬害肝炎訴訟における「基本合意書」に基づいて設置された「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が、「最終提言」において第三者監視・評価組織の設置を提言したことを受けて、新設された委員会です。「最終提言」が2010年に発表された後、数度にわたる薬事法・薬機法の改正があるも設置が見送られ続け、2019年の薬機法改正でようやく実現に至ったものです。

 その改正薬機法の施行に向けて、評価・監視委員会の組織や運営等を定める医薬品等行政評価・監視委員会令案(以下「省令案」)について、パブリックコメントの募集がなされました。

 最終提言は、第三者監視・評価組織の組織及び運営形態について、医薬品を規制する行政機関や製薬企業などの利害関係者からの「独立性」、医薬品の安全性を独自に評価できる「専門性」、薬害の発生又は拡大を最小限に食い止めるため迅速かつ適切な対応及び意思決定をなしうる「機動性」を確保する必要があるとしており、改正薬機法にもその趣旨を受けた規定が置かれています。

 ところが、省令案では、機動性を確保するために薬機法で委員数を10人以内にとどめた委員会の下に、さらに部会を設置できるとしており、機動性が損なわれる可能性があります。また、省令案は部会の委員は委員長が指名するとしていますが、これによって、最終提言が、医薬の専門家に偏らず多様な分野から委員を選任し厚生労働大臣が任命することによって、独立して監視の機能を果たさせようとした趣旨が失われる可能性があります。

 さらに、省令案が、部会の議決をもって委員会の議決とすることも可能としていることによって、実質的な判断が部会によって行われ、独立性、機動性を担保するために設けた委員会に関する規定が実質上適用されないこととなるおそれがあります。

 そこで、当会議は、2020年3月3日、部会の設置に関する規定をすべて削除すべきとするパブリックコメントを提出しました。

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