No.62 (2019-12-01)
2019年11月26日、日本産科婦人科学会は、菅義偉官房長官に対して、HPVワクチンの積極的勧奨の再開を求める要望書を提出しました。しかし、要望書とともに学会のウェブサイトに公表されている資料の中で、アンフェアな印象操作が行われていることが判明しました。
資料には、「子宮頸がんによる死亡者数は若年層で増加している」という説明付きのグラフ(図1)が載っており、グラフには右肩上がりの矢印が付けられています。
しかし、グラフでは20〜49歳という年齢区分が用いられていますが、40歳代を「若年」とは言わないでしょう。これは怪しい。
そこで、学会のグラフの出典とされている国立がん研究センターがん対策情報センターのデータを用いて、AYA世代(Adolescent and Young Adult:思春期および若年成人)と呼ばれる15〜39歳の死亡者数のグラフを作成してみると、図2のとおり、2000年以降はほぼ横ばいで、近年はむしろ減少しています。
本来の若年層というべきAYA世代では、子宮頸がんによる死亡者数は増加していないのです。
にもかかわらず、40歳代のデータを追加して右肩上がりのグラフを作り、「若年層で増加している」と説明するのは、本来の若年層での死亡者数が増加しているとの誤解を招くものであって、明らかに不適切です。
詳細は薬害オンブズパースン会議のブログをご覧下さい。