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 薬害オンブズパースンの定例会議で、2017年6月11日付産経新聞の一面を飾った記事のことが話題になりました。記事の見出しは「子宮頸がん 高まるリスク」です。内容を読むと、HPVワクチンの積極的勧奨が中止されてから4年が経ち、接種者が大幅に減ったことにより、国内の女性20歳時点でのHPV感染リスクがワクチン導入前と同程度に高まるとする予測を大阪大学の助教がまとめたことが「10日、分かった。」と書いてあります。 

 この記載を読んだ人は、最近の新しい研究成果かと普通は思うのではないでしょうか。でも、この研究は1年前に発表されたものです。HPVワクチンは、限定された期間ではありますが、HPVの感染リスクを減らすということが臨床試験で確認されて承認を得ているのですから、接種率が下がれば、感染リスクが高まるのは当たり前の話で、どうして研究たりうるのか理解に苦しみます。まして、それが1年後に新聞の一面のトップ記事になるのは不思議です。

 しかも、見出しが問題です。HPVに感染しても長い時間をかけてがんになるのはそのごく一部です。このワクチンが子宮頸がんを本当に減らせるのかは証明されていません。20歳時点の感染リスクと子宮頸がんリスクは同じではないのです。この研究も子宮頸がんリスクが高まるとまではいっておらず、記事の本文にもそれは書けません。しかし、見出しは「子宮頸がん 高まるリスク」となっています。本文にないことを見出しにつける、これは新聞記事として御法度、今はやりの「印象操作」というべきでしょう。

 この記事には、深刻な副反応に苦しむ被害者への配慮はなく、接種の積極勧奨再開を意図して子宮頸がんへの不安を煽るものとしかいいようがありません。  発足から20年、薬害オンブズパースンとしては、医薬品をめぐる報道のあり方にも警鐘を鳴らしていきたいと思います。

 6月より、薬害オンブズパースン会議は新任期に入りますが、メンバーと役員に変更はありません。引き続きご支援をどうぞよろしくお願い致します。

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