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 2016年12月26日の厚労省審議会において、厚労省研究班による全国疫学調査(「青少年における『疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状』の受療状況に関する全国疫学調査」研究代表者・祖父江友孝大阪大教授)の結果が報告されました。報告は、この調査をもって因果関係を判断することはできないとしつつ、「HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を呈する者が、一定数存在した」との結論を示し、これを受けて、『非接種でも副作用と同症状』などとする報道がなされました。しかし、本調査ではおよそそのような結論を導くことができる調査方法が取られていません。

 HPVワクチンの副反応は、疼痛、運動障害、自律神経障害、高次脳機能障害などの多臓器にわたる多彩な症状が、1人の患者に複数同時に重層的に現れる特徴を有することが、研究者によって解明されています。にもかかわらず、本調査では、調査対象症例基準において、「少なくとも1つ以上」の症状を有することしか要求していません。そのため、症状が1つしかない患者をはじめ、多彩な症状が重層的に現れるという特徴を有しない患者でも、副反応と同様の症状として扱われています。

 本来であれば、どのような症状がどのような組み合わせで生じた場合に副反応と同様の症状と判定するのかについての基準を設定するべきですが、それがなされていません。したがって、たとえ複数の症状を有する患者でも、それが副反応と同様の症状と言えるかどうかは明らかではありません。

 一方、本調査結果のうち、「接種歴あり群」と「接種歴なし群」の個別症状の有症率の比較を見ると、全41症状のうち26症状は接種あり群の有症率が接種なし群の2倍以上となっています。また、光に対する過敏、脱力発作、月経異常、記銘力の低下など、研究者が副反応患者に特徴的なものとしている症状について、接種歴あり群が著しく高い有症率を示しています。これは、HPVワクチンと副反応症状の因果関係を示唆するデータと言うべきですが、報告ではその事実を無視し、かえって「全ての症状は『接種歴あり』と『接種歴なし』両群に存在し、一方の群だけに特異的な症状は存在しなかった」と記載し、両群に差がなかったかのような印象操作を行っています。このような姿勢は、本調査報告が不公正な意図をもって作成されたことを強く疑わせます。

 弁護団では、上記をはじめとする本調査の問題点をより詳しく説明したコメントを公表しておりますので、ぜひご一読下さい。

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