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 前号(47号)でもお伝えしたとおり、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種推進を目標に掲げ、早期承認や公費助成の実現、定期接種化などに大きな影響を与えてきた「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」(専門家会議)に対し、2012年度に、ガーダシルを製造販売するMSD社から2000万円、サーバリックスを製造販売するグラクソ・スミスクライン(GSK)社から1500万円という巨額の寄付金が支払われていました。また、サーバリックス販売開始の8か月前までGSK社のワクチンマーケティング部長であった人物が、専門家会議から事業の委託を受けてHPVワクチンの推進に関する活動を行っていたことも明らかとなっています。

 その後、2013年度にも、引き続きMSD社から2000万円、GSK社子会社のジャパンワクチン株式会社から1850万円の寄付金が専門家会議に支払われていることが判明しました。継続的な寄付金提供が明らかになったことにより、専門家会議がその設立当初からワクチンメーカーの資金でHPVワクチンの推進活動をしていたのではないかという疑いがますます強まりました。

 国際製薬団体連合会(IFPMA)は、プロモーションの倫理基準等について「IFPMAコード・オブ・プラクティス」を定めており、日本製薬工業協会(製薬協)の加盟企業もその考え方に従うべきとされています。IFPMAコードは、「プロモーションの透明性:医薬品およびその使用に関連する資材には、プロモーション活動を目的とするか否かに関わらず、企業により後援されている場合は、誰の後援によるものかを明確に記載しなければならない。プロモーションは偽装されてはならない。」としています。

 専門家会議によるHPVワクチンの推進運動は、もしHPVワクチンメーカーが自ら行えば明らかにプロモーション活動に該当します。専門家会議の名において行われてきた活動に対して、メーカーから資金提供や労務提供がなされているにもかかわらず、そのことが明確にされていなかったとすれば、それはまさに『偽装されたプロモーション』というべきと考えます。

 また、この偽装によって、メーカーが自ら行えば製薬協の定める「製薬協コード・オブ・プラクティス」の違反に該当する行為が、専門家会議によって行われており、これはワクチンメーカーによるコード違反と捉えるべきと考えます。

 そこで、当会議は、2015年2月26日、これらの違反事実を指摘した「HPVワクチンメーカーによるコード違反被疑事案に関する苦情申立て」を製薬協に行いました。今後、製薬協による調査の帰趨に注目したいと思います。

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