No.47 (2014-11-01)
「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」(以下、「専門家会議」)は、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)が承認申請中であった2008年11月に設立された団体です。活動目標として、子宮頸がん検診の検診率向上に加えて、HPVワクチンの早期承認、承認後はその普及・接種推進を掲げ、政府、国会、自治体、メディア、医療機関、啓発団体、市民といった幅広い層を対象に、提言・見解等の公表、要望書等の提出、セミナーの実施、記者懇談会の開催、海外学会への参加・取材ツアー(専門家会議が航空運賃、宿泊費、学会参加費を負担)の実施などのきわめて多彩な活動を行っています。実行委員及び委員には、HPVワクチンを推進する産科・婦人科の諸学会の会長・副会長が名を連ねており、HPVワクチンに関連する立法、行政、及び世論形成等に大きな影響を与えてきました。
このような専門家会議の活動には相当な資金力が必要と思われますが、2013年度より実施された製薬企業の情報開示によって、専門家会議が、2012年度に、ガーダシルを製造販売するMSD社から2000万円、サーバリックスを製造販売するグラクソ・スミスクライン(GSK)社から1500万円という巨額の寄付金を受領していることが明らかとなりました。そこで当会議は、2014年6月18日、専門家会議に対し、「ワクチンメーカーとの経済的関係に関する公開質問書」を送付して、設立以来の上記2社からの寄付金額や、専門家会議から実行委員に支払われた金銭の有無等を明らかにするよう求めましたが、専門家会議は回答しませんでした。
その後さらに、GSK社の元社員が専門家会議の肩書きで活動している事実が明らかとなったことから、2014年7月17日、これらの人的関係に関する質問を追加した「ワクチンメーカーとの関係に関する公開再質問書」を送付しました。再質問に対しては一部回答があり、サーバリックス販売開始のわずか8か月前である、2009年4月までGSK社のワクチンマーケティング部長であった堀内吉久氏が、専門家会議から事業の委託を受けてHPVワクチンの推進に関する活動を行い、委託料を受け取っていたことが判明しました。
これらの金銭的及び人的関係からすると、公正中立な『専門家』の科学的意見であるかのように行われている専門家会議の接種推進運動が、実はワクチンメーカーによる販売促進活動の一環なのではないかと強く疑われます。事実関係の多くはなお隠されたままであり、当会議はさらなる追及を続けていきたいと考えています。