No.44 (2013-11-01)
カネボウの医薬部外品の美白化粧品による白斑被害が広がっています。多くのメディアから承認過程に問題はなかったのかという質問を受けました。カネボウが自ら弁護士に調査を依頼して公表した第三者報告書には、市販後の消費者や医師からの副作用報告に対するカネボウの対応のまずさは指摘されていましたが、承認過程に問題はないとされていました。
しかし、承認過程にも問題があります。被害の原因となった美白成分ロドデノールは、ラズベリーケトンという物質を職業的に扱う人の手に白斑ができることを報告した医学論文にヒントを得て開発したものなのです。つまり白斑を起こす有害作用を美白に応用した商品なのです。このことは承認申請書の冒頭に明記されています。そもそも、こんな成分を化粧品に使ってよいのかということすら疑問ですが、少なくとも、白斑に対する安全性試験は入念に行われなければならなかったはずです。ちなみに、被害発生後の皮膚科学会の調査では光に当たると増悪すると指摘されていますが、前記の医学論文には、光過敏のことも指摘されていました。しかし、カネボウが実施した安全性試験は極めてお粗末、本当に驚きでした。
医薬部外品では「茶のしずく石鹸」でも大規模な被害が発生しています。この際、医薬部外品の扱いを点検してみる必要がありそうです。薬害オンブズパースンの今後の検討課題としたいと思います。