No.44 (2013-11-01)
私たちは我が国で最初に子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が承認された2009年頃から、このワクチンは十分な有効性と安全性を持っているのかという懸念を抱いてきました。そして接種への公費助成を求めるキャンペーンが目立つようになった2010年11月、リスク・ベネフィットに関して、接種する本人と保護者に対する情報提供が不十分でありインフォームドコンセントが得られていない恐れがあるという「見解」をウェブページ上に公表しました。
その後、事態は急展開。2013年3月には「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」が設立され、その深刻な副作用被害の実態が初めて明るみに出ました。そうした状況を踏まえて当会議でも3月25日、上記の「見解」に追記を加え、「意識消失、四肢痛などの他、ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎などの重篤な副作用が起きている」といった現状を考慮して接種するか否かの自己決定をするよう呼びかけました。
ところが国は翌4月から、既定方針通りこのワクチンを定期接種に組み入れ、全国の女の子たち全員に接種する方向に強引に動きはじめました。その際、厚生労働省が作成したQ&Aがあまりにもワクチン推進に偏った内容だったため、私たちはそのQ&Aにはない、臨床試験データや関係者の利益相反の状況なども加えた「本当のQ&A」を急きょ作成し、8月23日に公開しました。
これと並行して作業を進めてきた「要望書」は、9月25日付で厚生労働大臣、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、ワクチンメーカー(GSKとMSD)宛に提出、記者会見も行いました。
この「要望書」では、このワクチンは定期接種として一律に接種するほどの有効性や安全性が証明されていないとして定期接種から外すことを要望、また現時点では副作用症例の掘り起しが不十分であることから副作用の重点的調査を行うことを求めています。
さらに任意接種の時代から多数出ている副作用被害者が、「接種との関連性が不明」「入院治療をしていない」といった理由で副作用被害救済制度の適用を受けていない現状があることから、定期接種なみの被害救済を行うよう求めました。
このワクチンをめぐっては6月14日に開催された厚生科学審議会の部会で「積極的勧奨の中止」という異例の決定がなされ、いわば“一時停止”の状態が続いていますが、巻き返しに向けて、ワクチン推進派の医師や、学会、メーカー、ロビイストによる政官界への働きかけが激しくなっているという情報もあり、予断を許さない状況です。みなさんも我々の活動にご支援をお願いします。