閉じる

 「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」をご存知ですか? 日本製薬工業協会が2011年に策定したもので、2013年4月からの実施が予定されています。

 これは、医師や研究者に支払った金銭について各企業がインターネットで公開するというもので、公開の対象は、研究費、寄付金、講演料や原稿執筆料、医学・薬学関連文献等情報提供費、接遇費などに及んでいます。どの大学のどの講座に年総額でいくらの奨学寄付金を払ったか、誰に講演料をいくら払ったかなどを具体的に公表することが予定されています。

 産官学連携によって生じる利益相反関係が、医学研究や医薬品の評価の公正さを歪める可能性があることは広く認められています。そして、情報公開を徹底し、透明性を高めることは、公正さを担保する最も基本的な方策です。

 当会議WEBサイトの注目情報でもたびたび紹介してまいりましたが、米国では2010年3月に制定された医療保険制度改革法のいわゆる「サンシャイン条項」において医療関係者への支払いに関する情報の公開が義務付けられています。製薬企業が医療関係者等への支払額を具体的に公開して透明性を高めることは、国際的な流れなのです。
 ところが、報道によれば、日本医学会利益相反委員会や日本医師会では、実施に対する反対意見や消極意見が出されているとのことです。

 金銭を支払う側の製薬企業が、倫理性を高め、広く国民の理解を得るために必要であるとして、透明性ガイドラインを策定して、実施に向けた準備をしてきたのにもかかわらず、本年4月の実施を目前に、金銭を受け取る側の医療界から反対が出て、予定どおりの実施が危ぶまれるというのは、理解に苦しむ展開です。このような日本医師会等の対応は、国民の不信を招くだけです。

 当会議では、本年4月からの実施を求めていきたいと思います。この機関紙がみなさんのお手元に届く頃には、意見書を公開している予定です。是非WEBサイトをご覧ください。

閉じる