No.39 (2012-03-01)
身近にインフルエンザにかかっている方がいらっしゃいますか?
内閣官房の新型インフルエンザ等対策室が、「新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台」を公表しました。政府による緊急事態宣言と、外出や集会の制限、土地の収用、政策金融の実施に至るまでの広範囲の緊急措置が想定されています。戒厳令を連想させる項目ですが、これに関する法案の今国会提出が予定されています。
この中には、「医療関係者、社会機能維持事業者の先行的予防接種、国民の予防接種」という項目もあります。
2009年の新型インフルエンザワクチンの緊急輸入騒動を思い出します。このとき、薬害オンブズパースン会議は、新型インフルエンザの危険性が高くないことやワクチンの有効性が限定的であること等について、厚生労働省が正しい情報を国民に伝えていないと指摘し、薬事法の特例承認の規定を、新型インフルエンザワクチンの緊急輸入に適用することに反対しました。しかし、パブリックコメントでは、緊急輸入に反対した意見は数えるほど。多くの意見が、ワクチン接種の優先順位を問題としたものでした。不正確な情報によって社会の不安が煽られた結果といってよいと思います。そして、最終的に緊急輸入は実施され、私たちが指摘したように、ワクチンは大量に余り、廃棄されたのです。
正しい情報と十分な議論、この当たり前のことが重要です。