No.39 (2012-03-01)
2011年10月31日付で、「医薬品リスク管理計画(RMP)ガイダンス(案)」について、意見書を提出しました。これは、厚生労働省のパブリックコメント募集に応えたものです。
このガイダンス案は、2010年4月に公表された「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会最終提言」(最終提言)に基づく改革の実行のひとつとして作成されたものです。市販後安全対策に関する計画を立案する製薬企業に向けた指針です。
医薬品を承認するまでに得られる情報には限りがありますので、市販後安全対策が極めて重要です。市販後の安全対策として何に重点を置くべきかは、個別の医薬品ごとに異なります。ところが、これまでわが国で行われてきた市販後安全対策は画一的なものでした。また、医薬品の安全性を評価するための科学的な手法である薬剤疫学も生かされていません。
そこで最終提言は、医薬品ごとに異なるはずのリスクを承認審査の段階から具体的に特定し、国際的に認められている薬剤疫学的手法(ICH–E2Eガイドライン)を導入した市販後安全対策を取り入れ、そのための環境を整備することを求めたのです。
しかし、公表されたガイダンス案は、最終提言が求めたものとは似て非なるものでした。また、薬剤疫学的な手法を取り入れた医薬品安全監視計画等の妥当性を検討する第三者委員会の設置など、厚生労働省やPMDA側の体制の整備も明らかになっていません。
そこで、当会議は次のとおりの改善、及び追加の措置を求めました。
なお、パブリックコメント募集後、ガイダンス案は、そのままガイダンスとなりました。
意見の趣旨
1 従前の「製造販売後調査等基本計画」を廃止し、医薬品リスク管理計画(RMP)に置き換えることを明確にするべきである
2 「医薬品リスク管理計画書案」(参考
考資料)を改め、EUのテンプレートを参考にしたフォーマットを策定して示すべきである
3 「追加のリスク最小化活動の内容」について、既存の最小化策を整理して列挙するに止まらず、これらを不断に改良していく必要があることを明記すべきである
4 医薬品リスク管理計画(RMP)およびその実行状況の公開をガイダンスに明記するべきである
5 薬剤疫学的な手法を取り入れた医薬品安全監視計画等の妥当性を検討する第三者委員会を設置するとともに、ガイダンスにシステムの全体像を
明記するべきである
6 薬剤疫学研究推進のための公的基金を創設し、人材育成を図るべきである