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 本年1月7日、東京・大阪両地方裁判所から、薬害イレッサ訴訟について、企業と国の責任を認めた和解勧告が出ました。

 しかし、企業も国も和解協議の席に着くことを拒否しました。これにより、大阪で2月25日、東京で3月23日に、判決が言い渡されることになります。

 ところで、和解勧告をめぐっては、勧告所見に書いていないことをもって、勧告を批判するという奇妙なことが繰り返し行われました。国は「薬事行政の根幹にかかわる」と言い、国立がんセンターは「医療が崩壊する」等と主張して和解勧告を批判しました。しかし、いずれの和解勧告も添付文書による情報提供が不十分であったとして救済を求めているだけだったのです。副作用情報を添付文書で医療現場に分かりやすく提供すると、なぜ薬事行政の根幹が揺らいだり、医療が崩壊するのか。理解に苦しむという他はありません。

 国は、和解協議を拒否する一方で、被害者らが求めていた抗がん剤による副作用死の被害救済制度の創設を図るとしています。

 しかし、肝心の責任を否定していますので、薬害防止が置き去りです。国の態度は、同じ過ちは犯すが、死亡したら補償しますと言っているようなものです。こうした対応の問題点を多くの方に知っていただきたいと思います。

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