No.38 (2011-11-01)
厚労省の薬害肝炎検証再発防止委員会が2010年4月に公表した「最終提言」に基づいて、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会が開催されています。この部会は、「最終提言」を実行するうえで必要な薬事法改正について議論するために設置された委員会のはずでした。
しかし、現実には随分と違った展開となっています。提言に記載がなくても厚労省が次の薬事法改正に盛り込みたいと考えている事項は着々と形を整えていく一方で、肝心の「最終提言」で提案された事項については、内容が骨抜きにされているものが少なくないのです。
特に、添付文書を承認審査の対象として行政責任を明確とする件や第三者監視評価組織を創設する件についての審議は、傍聴席から「これはなんだ!」と思わず声を上げてしまいそうな展開となっています。
そもそも厚労省が選任した15人の委員のうち、元の委員会の委員はわずか3名です。また、この種の検討会では、厚労省が「落としどころ」と考えている結論に向かって議論が収束するよう、官僚が作成し用意する資料や説明に偏りがあることがありますが、この部会ほどに、事務局作成資料に不公正な点があるのはめずらしいでしょう。
添付文書を承認対象とせず、第三者監視評価組織の実質上の影響力を弱めるために「やれることはなんでもやる」と局議で確認しているのではないのかとつい考えてしまいます。「最終提言」の実行がますます必要です。