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 2009年の国内患者発生以降の「新型インフルエンザ騒動」は皆さんご存じのとおりですが、政府の対応や一部専門家の発言は、新型インフルエンザの危険性を過度に強調する一方で、ワクチンやインフルエンザ治療薬の有効性を過大評価してその接種・服用を推奨しており、きわめて問題があると言えます。
 この間、当会議では、以下のような行動を行いました。
1 ワクチン政策に関するパブリックコメント
 2009年9月、厚労省は、新型インフルエンザに対するワクチンの供給に関する政策案「新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンの接種について(素案)」を公表し、パブリックコメントを募集しました。当会議は、これに対して、同月13日付けでパブリックコメントを提出しました。
 素案では、ワクチン接種の優先順位を示すとともに、ワクチン確保のため輸入ワクチンについて薬事法14条の3に基づく「特例承認」を適用する方針が示されました。しかし、特例承認制度は、まだ治療手段が開発されていなかった初期のエイズのような、極めて重篤で致死性の高い感染症に対処することを目的として、大幅に簡略化された手続きで薬の承認を認める制度です。これに対し、新型インフルエンザは、基本的には季節性インフルエンザと同様の症状で、大多数の患者が軽症です。また、推計感染者数に比較して入院患者数や死亡例数が少なく、重症例・死亡例の発生頻度も季節性インフルエンザと比較して高くないと考えられるなど、決して重篤な疾患ではありません。一方、新型インフルエンザワクチンは、国内ワクチンとは製法が異なる上、海外でも安全性は確立していません。このような状況で特例承認を新型インフルエンザワクチンに適用するのは、明らかに行き過ぎです。そこでパブリックコメントでは、以下のような指摘を行いました。
 ①輸入ワクチンを特例承認すべきではない。
 ②害反応(副反応)被害者に対する補償制度において企業免責を認めるべきではない。
 ③接種の真の任意性を担保するため、新型インフルエンザの重篤性及びワクチンの有効性及び安全性に関し正確な情  報を提供すべき。
 ④インフルエンザワクチンについて、早期に信頼性の高い疫学的研究を行うべき。
 ⑤輸入ワクチン、国内ワクチンいずれについても、臨床試験のプロトコールを含めて承認前から情報公開を徹底すべ  き。
2 死亡例の調査に関する要望書
 2009年の秋以降、流行期を迎えて新型インフルエンザの感染者が増加するにつれて、新型インフルエンザ患者の死亡例の発生状況が盛んに報道されるようになりました。厚労省は、新型インフルエンザに感染あるいは感染の疑いのある患者が死亡した場合には全て発表するという方針をとっていたため、発表された死亡例の中にはインフルエンザ感染と死亡との因果関係が疑わしいものが含まれていましたが、報道ではそのことは十分に伝えられず、患者が死亡したという事実ばかりが強調され、不安が煽られていました。また、死亡例には、タミフルなどの薬が投与された後で死亡した例が多数含まれていましたが、副作用の可能性については全く検討がなされていませんでした。
 そこで、当会議は、2009年11月26日、「新型インフルエンザ患者死亡例の調査に関する要望書」を提出し、
 ①新型インフルエンザに感染し、または感染が疑われる患者の死亡例について、症例の経過の詳細に関する調査を行  いその調査内容を明らかにすること
 ②新型インフルエンザ感染と死亡との因果関係の有無、及び死亡までに投与された薬剤による副作用の可能性に関す  る所見を公表すること
を求めました。

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