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 虫歯予防のため水道水へフッ化物を添加すること(以下、フッ素化)は、米国・カナダに始まり、1950年代以降、世界中に広まった。米国の歯科医師会、国立歯科研究所やWHOなど権威ある団体のフッ素化奨励をバックにして、これを推進しようとする行政や学者は、反対する学者や市民運動団体などと対立し、実施と中止をめぐって論争は世界各地で続いている。
 平成13年末、厚生労働省がそれまでの消極的態度を変えて「フッ素化容認」の方針を打ち出すと、日本各地でフッ素化実施への動きが起こった。しかしこれらの動きが今までのところすべて阻止されているのは、「日本フッ素研究会」を中心とした市民運動や当会議の運動の力が大きいと思う。韓国では1994年からフッ素が急速に拡大したが、その後、反対運動が起こり、3都市で中止された。最近、日本では子どもを対象とした「フッ素洗口」が広がろうとしている。平成14年11月、厚生労働省の推進派学者ばかりからなる研究班「う歯予防のためのフッ化物洗口マニュアル」を作成し、また平成15年1月、ガイドラインを作り、各知事や各都道府県教育委員会学校保健主管課に配布した。洗口を行っている児童数は現在、約30万人と言われ、このままだとその数は急速に増えるであろう。洗口の実施には保護者の同意が必要だが、保護者には「権威ある団体が推奨しており、有効・安全」だという表面的情報のみが提供され、本当のインフォームド・コンセントになっていない。当会議ではフッ素洗口に反対する意見書の作成を進めている。
 フッ素応用を推進する行政担当者と学者のやり方には不可解なことが多い。例えは、WHOのレポートが、6歳未満の子供のフッ素洗口を「contra-indication」としているのを、「禁忌」でなく「処方されない」などと意図的誤訳(?)をする。マニュアルでは、フッ素の急性中毒量を約100年前の1人の試用報告をもとに「2mg/kg」とし、昭和62年、新潟大学歯学部の学生実習で0.4mg/kg以下で中毒事故を起こしながら、その中毒量を変えていない。ガイドラインには、「腎疾患の子供にも奨められる」、「アレルギーの原因にもならない」、「骨折、ガン、神経系および遺伝系との関連などは、水道水フッ素化物添加地域のデータを基にした疫学調査によって否定されている」などと書く。これらは医学的に誤りであり、洗口剤の添付文書には現に「過敏症状があらわれたとの報告があるので・・・・」と書かれている。他にもあるが、彼らの不可解な強行を止めるには、洗口実施に関係する歯科医や養護の先生たちが「もの言わぬ」態度を止め、はっきりと「ものを言う」必要がある。ここ数ヶ月の当会議のホットな取り組み対象は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法、サリドマイドやイレッサであった。このところフッ素を含めこれらすべてのテーマで、他の市民運動団体との連携が強くなっている。

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