No.31 (2009-05-01)
株式会社楽天は、ネットにおける圧倒的な影響力を駆使して、医薬品のネット通販継続を求めるネット署名を大々的に募集しており、そこでは、「対面販売でないことを起因とする健康被害の実例は1件も確認されていません」として通販の安全性が強調されている。しかし、十分な調査を行わずに安全性を謳うのはおかしい。また、楽天のネット販売で催眠鎮静剤を大量購入した少年の自殺未遂事例も明らかとなった。そこで、当会議は、2008年12月22日、楽天に対し、全国薬害被害者団体連絡協議会、全国消費者協会連合会ほかと共同で、署名活動の中止を求めるとともに、楽天の安全対策等を問う要望及び質問書を提出し、回答を受けて、2009年2月2日に再質問書を提出した。
回答の中で、楽天は、催眠鎮静剤の大量販売事例について、「用法・用量などを大幅に逸脱した目的外利用であることから、対面販売でないことを『起因とする』、医薬品の副作用により発生する健康被害の問題ではない」としている。しかし、事例は、メーカーが乱用防止のため1人1箱(12錠入り)の販売を厳守するよう求めていた催眠鎮静剤を、19歳の少年に24箱まとめ売りしたというものである。このような販売が店頭でなされることは考え難く、まさに、購入者と販売者が対面せず、第三者の目にも触れることがないというネット通販の特性によって生じた事例というべきである。また楽天は「目的外利用」を強調するが、乱用防止は販売者の責務ではないと考えているならば、楽天には医薬品の安全性について語る資格はないというべきであろう。
また、安全対策については、医薬品販売の安全性確保という観点から行われている具体策は示されず、前記の大量販売事例についても発生時(2006年5月)には把握できていなかったという。これでは『被害実例』が確認されないのも当然であり、それを根拠に安全性を強調するのは明らかに不当である。
実際、要望及び質問書を提出した08年12月の時点で簡易調査を行ったところ、問題の催眠鎮静剤を大量購入できる店舗はネット上に多数存在していた。ネット販売の安全性については、なお調査が必要であろう。