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今期から薬害オンブズパースン会議のメンバーとなりましたが、これまでは1999年2月のタイアップ札幌設立からタイアップグループの一員として関わってきました。自らも薬剤師なので、「薬剤師への期待」というのはちょっと変ですが、これまでのタイアップの活動の経験からもっと多くの薬剤師が、薬害オンブズパースン会議の意義を理解し活動に参加してほしいという意味で薬剤師に期待しています。タイアップメンバーとして数回定例会議を見学していますが、議論の内容は大変刺激的で興味深く多方面にわたっていて勉強にもなります。一方、専門家集団の議論なので一般市民が理解するのはかなり困難だと思われます。その点、薬の問題を議論しているので薬剤師が一番入りやすいと思います。10年前に活動に参加するにあたっては、薬害オンブズパースン会議から監視される側の医療界にいる薬剤師としてどう関わったらいいのかと悩んだ時期もありましたが、薬害の加害者にもなりうる薬の専門家としての薬剤師が薬害根絶に積極的にかかわら無いことの方がむしろ不自然だと考えるようになりました。この活動にかかわるうちに、今の医療界が「薬害を起こす力」の影響を強く受けた情報の中にどっぷり首まで浸かっていることが良く見えてきました。極めて余裕の無い現在の医療現場では、ほとんどそのことには気づいていないと思われます。「ビックファーマ」や「怖くてのめない」などの書籍に書かれている内容を素直に受け入れることができない、むしろその世界にはまっているというのが現実です。しかしその中で、薬について客観的にみることができる可能性が少しでもあるとしたらそれは薬剤師だと思います。薬剤師の職能で最も大事なのは薬を評価することですし、薬の評価に主体的に取り組まなければ薬剤師としての存在価値がありません。薬の評価とは、目の前にいる患者さんにとってその薬が効いているのか、副作用がないか、効果の割に値段が高くないか、そもそも必要なのかなどを患者さんといっしょに考えることが基本です。薬の評価をその薬がそもそも薬としての価値があるのかまで深く追求することが目の前にいる患者さんへ責任を果たすことになります。薬害オンブズパースン会議の発する「薬害をふせぐ力」としての情報に多くの薬剤師が敏感に反応してくる事を期待しています。
タイアップの今後の活動性の方向も薬剤師が鍵をにぎっている気がします。タイアップの初期の活動である「H2ブロッカー全国一斉販売調査」は当初の目的とは別にドラックストアにおける「薬剤師不在問題」をあぶり出し、現在の「登録販売士制度」に繋がっています。薬剤師の存在意義について社会に問題提起したことは大きかったと思います。現在多方面から期待されている薬剤師についてあらためてその存在意義を追求するような活動が全国のタイアップグループで多くの薬剤師が参加して行えるといいと思います。

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