No.24 (2006-06-01)
医薬品販売制度検討委員会報告書をうけて、今通常国会に改正薬事法案が上程された。改正案には1点だけ密かに“どす黒い権益擁護”が盛り込まれていた。最初に気づいたのは、検討部会委員だった増山ゆかり氏だ。
既存販売業者も、3年後には新らたな資格試験に合格した登録販売員によって販売しなければならなくなるハズだった。
ところが、既存業者のうち規制をうけるのは、一般販売業者、薬種商だけで、配置販売業は規制を受けない。つまり法人業者なら無期限に現状のままでいいことになっている。法律家である筆者でさえも細かな条文を丹念に照らし合わせて初めて理解ができた。なんだこりゃ! 厚労省事務方が検討部会委員の増山さんに、改正法案をなかなか見せようとしなかったのもこれが原因か。
当会議では急遽意見書を作成して、4月5日に厚労省、衆参両院厚労委員、各政党へ提出した。
一般用医薬品の安全性確保のため、試験に合格した登録販売員の販売を義務付ける法律案に抜け穴があったのだ。この抜け穴はどうみても、一般販売業者、薬種商とくらべて法の下の平等に反する。伝統産業だからという理由だけでは規制の対象外にするのは安全性を無視した、不合理そのものだ。
配置薬業者は、コンビニが一般用医薬品の販売に参入しようと企て始めた3年ほど前には、コンビニ排除のために「医薬品販売の規制緩和は専門家による安全性の検証など慎重な議論が必要」などと言っていたが、登録販売員制度で試験の義務づけが決まるや、「試験が難しく、我々には無理」などと言い始めたそうだ。そして昨秋には「日本置き薬協会」を発足させ、設立総会でも自民党国会議員が支援のエールを送ったとのことである。
国会では、参院厚労委員会において4月13、14、18日にこの点を中心に審議が行われたが、改正薬事法案は附帯決議が付されたものの可決された。次は衆院審議だ。
参院での川崎厚労大臣の「既存配置販売業者についても、配置員が試験に合格して新制度に移行できるようになることが望ましい」との答弁が、どこまで具体化するかが焦点だ。