No.22 (2005-07-01)
イレッサ問題が、ひとつの節目を迎えた。米国FDAが、6月17日、新たな患者には使用すべきでないとした添付文書の改訂をメーカーの申し出により承認したのである。2004年
12月に公表されたISEL試験で延命効果が証明できなかったため、米国で使用が中止とな
ることは時間の問題であった。それにしても、今回の措置が、3月23日、最終回のゲフィチニブ検討会に先立ちNPOJIPから申し入れた厚生労働大臣あて要望書の内容によく似 ていたので、いささか驚いている(http://www.npojip.org/sokuho/050322.html:新規患者に使用しない、現在使用中で、患者が希望し医師が適切と判断した場合には無償提供のこと)。
2002年12月、医薬品審査業務の独立行政法人への移管を批判した機会に取り上げ、当会議からの委託研究をまとめ、情報開示を求め、行政訴訟を提起し、被害者の提訴と合わせてさらに情報開示を迫り、この3月動物実験や臨床試験データの開示を実現させた。
出てきた動物実験結果や臨床試験結果には、予想したこととはいえ、あまりの見事な所見が隠されていたことに感動すら覚えた。
本年1月から3月まで開催されたゲフィチニブ検討会においては、臨床試験登録制度の将 来を占うように、偏りの大きいデータの開示に終止した。しかし、結果的には、メーカーに不都合な重要なデータが毎回のように隠されていたことが判明したのは大きな収穫であった。決定的な背景因子の偏り、イレッサの有効性を予測する因子として決定打と期待されていたEGFR遺伝子変異陽性すら延命効果を予測しないことを裏付けるデータが明瞭に示されていた。
5月には、継続しても延命効果を得られる見込みがないとして別の臨床試験が中断され、延命効果を否定する試験が4つとなった。今回のFDAの措置に習い、日本でも中止を早期に決断すべきである。