No.20 (2004-09-01)
世界ではじめてイレッサが日本で発売され、開始早々、続々と死者が出た。分子標的薬という触れ込みだが、どうもあやしい。動物実験の時点でそのことはわかっていたのではないか。厚生労働省はそのデータを見ながら、ゴーサインを出したのではないか。そんな疑問から動物実験データの情報公開請求をした。公表文書と重複する部分は公開されるだろうと思った。甘かった。全部非公開!
大雑把な非公開処分にはあきれた。被告の厚生労働省と、途中から利害関係人として訴訟に加わってきたアストラゼネカ社の裁判での主張もすごい。
「イレッサの治験データは人の生命、健康を保護するために公にすべき情報だから、公開すべきだ」というこちらの主張に、厚生労働省は「他の抗がん剤に比べて副作用の発生率が著しく高いわけではない」と反論してきた。言い換えれば、「まだ、大して死んでいないじゃないか」ということ。
アストラゼネカ社は「日本は薬価差益があるからいい国」「だけど、情報公開するようなら、そんな国には新薬の申請をしないから、新薬で救われる人が救われなくなる」と言っている。
テレビコマーシャルでは見られない“おごり”が裁判では見えることがある。