No.17 (2003-07-01)
2002年5月、抗生物質のアジスロマイシンによるSJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)等の重症型薬疹の発生が「医薬品・医療用具安全性情報」で報告されたことから、本会議は同年10月11日に「アジスロマイシン水和物の他剤代替可能な製剤は製造・販売中止し、承認取消を求める要望書」を厚生労働省と商品名「ジスロマック」発売元のファイザー製薬に提出しました(本誌第15号で報告)。
これに対し、ファイザー製薬は10月29日付けで「3製剤の製造販売を中止する意向はない」旨回答書を寄せました。その理由としては、(1)本剤は呼吸器感染症に第一選択薬として各国で推奨されている(2)SJSは発見が遅れると重症化し予後が悪い。医薬品による場合は、初期段階での投与中止が最良の治療法だが、投与を中止しても重症化する場合がある(3)本剤投与例で報告されたSJSは治療開始から4週間以内に回復しており、重症化した例はない(4)弊社はSJSの早期発見に努め、副作用報告を行い、添付文書の改訂や患者への服薬指導箋等の提供をしてきた、というものです。
この回答の疑問・問題点は以下の通りです。1. 回答に記載されている呼吸器感染症は、本剤でなければ治療できないような感染症なのかどうか。医学誌「ランセット」2002年5月11日号によれば、「本剤は急性気管支炎には無効」と報告されているがどうか? 2. 本剤の場合は組織内半減期が長く、投与を中止しても薬物濃度が維持されてしまうことから、副作用症状が進行するおそれがあり、「投与中止が最良の治療法」とはならない 3. 本剤による重症例はないというが、SJSの実態報告から見て疑問があり、より詳しい調査が必要 4. これまでのSJS予防対策は十分と言えるか疑問。
これら諸点についての本会の見解表明・再質問書は、薬事行政の独立行政法人化やイレッサの問題への対応に追われて遅れていましたが、ファイザー製薬に対し5月30日付で提出しました。