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「ベンゾジアゼピン系薬物に関する要望書」を提出

2015-10-28

2015年10月28日、薬害オンブズパースン会議は、関係各企業、厚生労働省、文部科学省、関連学会に対し、「ベンゾジアゼピン系薬物に関する要望書」を提出しました。

ベンゾジアゼピン系薬物とは、抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用をもつ薬剤で、日本国内で販売されている抗不安薬と睡眠薬のほとんどがそれにあたります。

ベンゾジアゼピン系薬物は、上記の作用を有する一方で、常用量であっても数週間あるいは数か月間の使用によって耐性が生じ、かかる耐性の発現によって身体的・精神的依存につながる可能性があります。そして、身体的・精神的依存が形成されると、記憶障害、見当識障害、錯乱、幻覚、妄想、けいれん発作、離人感、運動知覚の異常など、日常生活に重大な影響を及ぼすほどの重篤な離脱症状に苦しむケースも珍しくありません。

耐性形成と依存の危険から欧米諸国では概ね2~4週間以上の処方に制限が設けられているのに対して、日本では継続処方期間の制限がなく、ベンゾジアゼピン系薬物の多剤併用も多く行われています。そのため、ベンゾジアゼピン系薬物の単位人口当たりの処方件数は、日本が世界最多である可能性が高いとさえ言われています。そして、処方実態の背景には、精神科医を含めた日本の医師におけるベンゾジアゼピン系薬物依存とその危険性に関する認識の低さが指摘されています。

そこで、当会議は、ベンゾジアゼピン系薬物の依存症や離脱症状に関する医療関係者の認識と日本における同薬物の処方実態を改善するため、2014年秋から精神科医や患者と意見交換をしながら調査と検討を重ね、この度以下を趣旨とする要望書を提出するに至りました。

<要望事項>
(1)以下を内容とする添付文書の改訂
①常用量依存症と離脱症状、多剤併用の危険性を警告欄に明記すること 
②ジアゼパムの力価との等価換算値を記載すること
③処方期間の継続に制限を設けること

(2)自己決定権保障に資する患者向け説明文書の作成・配布・ネット上での公開

(3)ベンゾジアゼピン系薬物の依存症が薬剤情報提供文書に必ず記載されるための施策

(4)ベンゾジアゼピン系薬物依存症に特化した専門医療機関の設置拡充

(5)ベンゾジアゼピン系薬物依存症に関する全ての医療関係者を対象とした研修の実施

(6)ベンゾジアゼピン系薬物依存症に関する医学部及び薬学部における教育の強化

※現在ベンゾジアゼピン系薬物を服用している患者又は家族の方へ

減薬又は断薬については、主治医と十分に相談しながら、慎重に判断する必要があります。
その際には、要望書本文においてご紹介した日本語版アシュトンマニュアルも参考になりますのでご参照ください(http://www.benzo.org.uk/amisc/japan.pdf)。

患者が自己の判断で減薬又は断薬の判断をすることは、逆に危険ですのでくれぐれもお控え下さい。

なお、当会議は、個別の相談や医療機関の紹介依頼には対応できませんので、ご容赦くださいますようお願い致します。

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