米国での調査で店頭販売(OTC)鎮痛薬を半数が誤用している実態が判明
2004-08-26
(キーワード: 米国、OTC薬自由販売、鎮痛薬、誤用、健康被害)
日本では、現在一般用医薬品販売の規制緩和が進行していますが、すでにOTC薬(医師の処方せんなしに購入できる薬)販売を自由化した米国では、最近次のような実態が明らかにされ、注目されています。これは、2004年5月に実施された米国救急医学会(ACEP)と米国救急看護学会(ENA)の合同調査が明らかにしたものです。
米国では、処方薬やOTC薬として販売されている鎮痛薬(NSAIDsとも呼ばれる非ステロイド性抗炎症剤)による害反応(副作用)(消化管出血、潰瘍など)で、年に10万3千人が入院し、1万6千人以上が死亡していると言われています(Amer J Therap 7,115-121,2000)。
これらの消化管出血を起こした人たちは、救急ケアを必要としますが、両学会はそうした健康被害を最小にしたいとの観点から、今回のOTC鎮痛薬使用実態の調査を行ったものです。
以下は米国救急医学会(ACEP)のウェブサイト(※1)からの要約です。
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米国人の約半数がありふれたOTC鎮痛薬を誤用している
ことが、米国救急医学会と救急看護学会によって発表さ
れた調査結果で明らかになった。
この調査は、OTC薬を用いて治療する消費者の姿勢と行
動を分析するために、米国人男女3443人のランダム化サ
ンプル(かたよりのないよう採られた対象)について行わ
れた。
その結果によると、OTC鎮痛薬使用者の59%が推奨用量よ
りも高用量を用い、また49%が推奨回数よりも多く使用し
ていた。
調査結果ではまた、回答者の4分の3以上が、OTC薬の危険
性について医師や看護師に相談したことは一度もなく、
また回答者の66%が使用前に容器や添付文書に書かれた説
明を読んでいなかったことが、判明した。
これらは、関節炎や関節痛を有する消費者の回答に限る
と、誤用の比率が高くなるなどそうした傾向が一層顕著
であった。
米国救急看護学会のHowardさんは、「OTC薬として購入で
きる薬は安全だという考えがあるが、それは間違ってい
る。OTC薬も、他の多くの治療手段と同様に、誤用すれば
重大な健康被害を生じることを、私たちは救急診療部門
で見てきている」と語っている。
(T)