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米国FDAは、透明性を高める道を探る

2009-08-04

(キーワード:FDA 情報公開、タスクフォース)

 新たに正副長官を迎えた新体制のFDAは、本腰を入れて情報提供に努めようとしている。SCRIP誌2009年6月4日号の記事を 以下に要約する。
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 FDA長官マーガレット・ハンバーグ氏(註1)が表明したところによると、FDAの透明性を高める為に専門調査班(Task Force)を設置し、6ヶ月以内に報告書を作成させるという。このことは、FDAの決定事項について、いままでより多くの情報が医師、研究者、市民などに提供される可能性を示している。専門調査班は、副長官のジョシュア・シャルフスタイン氏(註1)が議長を務め、FDAの各局長、規制関連の長官補佐、主任弁護士、主任科学者で構成される。連邦通商機密保持法が障害になることが、はじめから分かっているとの批判もある。どんな改革も途上には困難が有る。ハンバーグ長官は、規制を書き換えねばならない場合もあるし、情報公開を制限する法律については、議会に変更を求めねばならないこともある、と認めた。
 FDAにもっと透明性を、という要請は今に始まったことではない。パブリック・シチズン(註2)、ヘルスリサーチ・グループのシドニー・ウルフ医師は、「くすりの安全性と有効性について、研究者が独自に情報を分析できるよう FDAはデータへのアクセスの範囲を広げるべきだ」と改革を求めてきた。また、クリーブランド・クリニックのスチーブン・ニッセン医師は、「FDAは現在臨床試験に係る所有権を企業に認めているが、これを廃止し、すべての情報にアクセスできるようにすべきである」と主張している(註3)。
 ドイツのパウル・エールリッヒ研究所の所長を務めるJ.ロウエル氏は、医療分野の規制当局は決定過程をもっと透明にする必要があり、市民はどうしてそのような結論に達したかを知る権利があると述べている。 
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 知的所有権の保護の名のもとに、企業の情報非開示はあたりまえであるような風潮のなかで、FDAの新首脳の最初の仕事がこの風潮を変え、新しい規範をつくる方向に向かうことを期待したい。 (ST)
  
註1  Margaret Humburg 氏は、ニューヨーク市の衛生局長を経て、クリントン政権で保健福祉省幹部、その後バイオテロ専門家として活躍。Joshua Sharfstein 氏は、ボルチモア市衛生局長からオバマ政権入りした。(医薬経済6.15.2009 から)

註2 米国の消費者擁護のために1971年に設立されたNPO。議会、行政、裁判の場で消費者の利益を代表する。

註3 この主張は、オバマ大統領就任直前にNature誌が、新政権のとるべき行動について「六人の主要な意見」を掲載したが、そのうちの一人として述べた意見。「秘密主義の終わりがFDAを蘇らせる」(※1)。